再愛婚～別れを告げた御曹司に見つかって、ママも息子も溺愛されています～

　だが、未だに口を閉ざしたままの真綾に痺れを切らしたノアは、鋭い声で言う。

「真綾！」

　絶対に口を割らせてみせる。そんな気概を感じ、真綾はため息交じりで告げる。
　
「……先週の金曜日」
「え？　先週の金曜日って……。幹太が熱を出したって保育園から連絡があった日だよな」
「そう、だね……」

　思案顔だったノアの顔が、一気に固くなる。
　あの日の出来事で思い当たるフシがあったのだろう。青ざめた表情で真綾を見つめてきた。

「まさか……！？　顧問弁護士の永江先生？」

　信じられないといった様子で呟くノアに、真綾は小さく頷く。すると、ノアは天井を仰いだ。

「……幹太は知っているの？」
「教えていません」

　首を横に振ってキッパリと言い切ると、ノアはため息交じりで続ける。
　そして、何かを考えたあと、重苦しい雰囲気で口を開く。

「認知してもらうつもりは？」　

　躊躇いがちに聞いてくるノアに、首を横に振った。真綾の気持ちは、固まっている。
　
「ありません。彼はすでに既婚者です」
「……永江先生、既婚者だったんだ」
「ええ」