再愛婚～別れを告げた御曹司に見つかって、ママも息子も溺愛されています～

　会うはずがないと思っていた人物と、こんな形で再会することになるとは思ってもいなかった。盲点だった。
　恐る恐る顔を上げれば、そこには真綾の顔を見て驚き固まる男性、央太がいた。
　
　六年ぶりの再会が、こんな形になるとは思っていなかった。想像なんて出来るはずがないだろう。
　
　ネイビーのストライプスーツを格好よく着ている彼は、真綾がずっとずっと想い続けていた男性、永江央太だった。
　
　彼のスーツの襟を見て、目を見開いてしまう。弁護士バッチがついていたからだ。
　日本を離れている間にも、彼は弁護士を辞めて実家である永江物産を継いでいるとばかり思っていた。
　だが、今も尚、弁護士をしているというのか。
　
　聞きたいことはたくさんある。だが、今はとにかく逃げ出したい。
　少しずつ離れようとしていた真綾に、央太は視線を向けてきた。

「なにやら議論されていたようですが……お邪魔してしまいましたか？」

　困ったように眉を下げる央太に、ノアは首を横に振った。

「いえ、大丈夫です。それより、書類ありがとうございました」