再愛婚～別れを告げた御曹司に見つかって、ママも息子も溺愛されています～

　ただ、恥ずかしがってそれを素直に出せないだけ。それを、きっと先生もわかっている。

「お手数をおかけいたしました。ありがとうございます」
「いえいえ。じゃあ、幹太くん。お大事にね」
「うん」

　靴を履いたあと、幹太は先生に小さく頷く。
　先生に挨拶をしたあと、幹太の手を引いて保育園を出た。さて、ここからどうしようか。

　幹太は歩くのも辛いだろう。タクシーを呼ぼうかと思って携帯を取り出したとき、聞き覚えのあるクラクションの音がした。
　その音は、ほんの少し前に聞いたものと同じ。まさか……！

　恐る恐る振り返ると、そこには見覚えがあるシルバーのハイブリッド車が。
　見覚えがあるなんてものではない。つい数分前まで乗っていたのだから、忘れる訳がない。あれは間違いなく央太の車だ。

　それより、どうしてまだ央太はここにいたのだろう。パニックに陥った真綾はその場から動けない。
　すると、手をちょんちょんと軽く引っ張られた。幹太だ。

「ママ？　どうかしたのか？」

　いつもと様子が違うことが幹太にもわかったのだろう。怪訝な顔をして見つめてきたが、今はその答えを言う余裕はない。