再愛婚~別れを告げた御曹司に見つかって、ママも息子も溺愛されています~
 早く逃げなくちゃ、頭ではそう警鐘が鳴り響いている。だけど、身体が動いてくれない。
 そうこうしているうちに、央太は真綾と幹太の前に立ち塞がったのだ。

 ――万事休す!
 
 先ほど央太に、子どもは二歳だと言って嘘をついた。
 それなのに、真綾が五歳の男の子と手を繋いでいたら不審に思うだろう。
 いや、すぐに気がつくはずだ。真綾が嘘をついた、という事実に。

 冷や汗が背中を伝っていく。央太に批難されることを覚悟していたのだが、彼の口から飛び出した言葉に目を丸くさせる。

「あ、この前の迷子」
「あ、弁護士のおっちゃん」

 央太と幹太はお互いの顔を見つめ合ってそんなことを言い出したのだ。
 首を傾げている真綾を余所に、男二人は屈託なく笑っている。

「おっちゃんってなぁ……まぁ、おっちゃんか」

 苦笑しつつ、幹太の頭を撫でている。どういうことなのだろうか。
 目の前の光景が信じられなくて目を丸くしていると、央太の視線が真綾に向けられる。

「この前、ショッピングモールでコイツと会ったんだ」
「え?」

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