再愛婚~別れを告げた御曹司に見つかって、ママも息子も溺愛されています~
 央太はもう、真綾とのことはきちんと過去にしていたということ。それを望んでいたのだから、これでいいはずだ。

 真綾は自分に言い聞かせるも、なかなか昇華できない。
 自分勝手も大概にしろ、と自身を罵倒するものの、感情が追いつかず困ってしまう。

 央太を傷つけたのは、明らかに自分だ。それなのに、彼の幸せを喜べないことが残念で仕方がない。
 ふぅ、と小さく息を吐き、それでも自分は幹太の母親なのだからと気を引き締める。

 そうこうしているうちに、後部座席のドアは閉められ、央太は車に寄りかかりながら真綾を見つめてきた。もちろん、その視線には疑いと批難の色は隠せない。

「お前に会ったら、まずは謝罪をと思っていたんだが……。それどころじゃなくなってきたな」
「え?」
「色々と聞きたいし、なんで嘘をついたのか教えてもらいたい」
「……」

 何も言えずに口を噤んでいると、鋭い声で央太は呼ぶ。

「真綾」

 視線をそらしたかった。だが、それができる状況じゃないことぐらいわかっている。
 央太は小さく息を吐き出したあと、寄りかかっていた車から離れて真綾を見つめてきた。

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