再愛婚~別れを告げた御曹司に見つかって、ママも息子も溺愛されています~
 央太を見つめていられなくてソッと視線をそらすと、もう一度央太は真綾の頭に触れてクシャクシャと髪を乱すように撫でてきた。

「ほら、とにかく乗れ。今、すべきことは何かわかっているだろう?」
「……幹太を病院に連れて行くこと」
「そうだ。そのために最善な方法かつ選択肢は、ただ一つ。わかっているだろう?」

 ここであれこれ言っている時間があるのなら、さっさと病院に行く方が建設的だ。
 央太はそう言いたいのだろう。そして、最善の方法を選択できるのなら、何も考えずに選択するべきだとも。

 わかっているのだが、なかなか決断ができない。それは、極力顔を合わせていたくない相手だからだ。
 とはいえ、現在彼の手を取るしかない状況。それなら、とりあえず今だけは彼に甘えさせてもらった方がいい。

「……はい」
「よし、早く乗れ」

 それだけ言うと、央太は運転席へと回り込んで車に乗ろうとしている。それを見て、真綾も慌てて幹太の隣に腰を下ろした。

 すると、先程まで元気がなかった幹太は、二人の間にある不穏な空気を感じ取ったのか。 真綾に視線を向けたあと、運転席に座った央太に噛みつきだしたのだ。

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