夫の一番にはなれない
「ありがとう。……美味しそう」
「甘すぎなかったらいいけど」
來はいつも通りの顔で微笑む。
やっぱり、來の気持ちはわからない。
彼の優しさが嘘だなんて思いたくない。
でも、優しくされるたびに、不安が増えてしまう。
夜。
ベッドに並んで寝ながら、わたしは天井を見つめていた。
少しだけ手を伸ばせば、來の指に触れられる距離。
けれど、今日は何も起きないまま、時だけが流れていく。
本当は、触れてほしかった。
來がどう思っているのか、聞いてしまいたかった。
でも、そんなこと聞けない。
聞いてしまったら、“夫婦ごっこ”が終わってしまう気がして。
そして、わたしはまた今日も、“何もなかったふり”をして眠るのだ。
きっと來も、同じように。
お互いが「踏み込んでいいのかどうか」を測りかねている。
言葉にできないまま、繕うように笑い合って。
演技の延長線のような日々を、続けている。
それでも、ほんの少しずつ、心が近づいていると信じたい。
たとえそれが、“安心できない安心”でも――。