身ごもり婚約破棄したはずが、パパになった敏腕副社長に溺愛されました
嘉月さんについてはなんの不満もなく、むしろ『再会できてよかったな』と言ってくれた。
しかしお母様に対しては、身重の私を捨てたも同然だという当時の怒りがいまだにくすぶっている。青來家に嫁いで本当に幸せになれるのかと、心配するのも無理はない。
私も覚悟は決めつつあるが、問題はいろいろ残っていると重々承知している。
真実を話せば、嘉月さんならきっと受け入れてくれるだろう。今日昴の絵を渡したら、本人に父親である自覚はないはずなのに、わが子からもらったように喜んでくれていた。その反応を見て、すべて打ち明けたい気持ちが大きくなった。
それだけじゃない。私が車を降りようとした時、彼はなぜか『都』と呼んだのだ。付き合っていた頃みたいに。
記憶が戻ったわけではなさそうだったが、もしかしたらその日も遠くはないかもしれないと、ほんの少し希望を感じたのだった。
でも、昴の気持ちももちろん大事。実の父親とはいえ、新しい家族ができることを素直に受け止められるだろうか。
そしてなんと言っても難しいのは、青來家の許しをもらえるかということ。別れざるを得なかったとはいえ、嘉月さんとの子供がいることを隠していたのは事実だし、どんな反応をされるか……あの頃以上の修羅場になりそう。