―あすなろの唄―
「そ? ……じゃあ──」

 もちろん話してあげよう。

 君に全てを与えると決めたのだから。

 そして僕はその情報と共に、君の血液に脳細胞に、全ての器官に自分の意識を写し込む。

 全てを語り終えた時、僕の肉体は抜け殻になるんだ。

 僕という人格は君の全てを侵食し、君という存在に(インストール)されるから。

 「ヒノキ」になりたかった可愛い「アスナロ」ちゃん。

 でも明日には「ヒノキ」が「アスナロ」になるんだよ。

 「アスナロ」はいつまで経っても「ヒノキ」にはなれないのさ、フフ……。

 ──……いや。

 これもまた「アスナロ」が「ヒノキ」になるということかもね?

 明日から僕は、僕の意志で君に触れる。

 鏡に映された君を真っ直ぐ見詰める。
 
 そしていつでも歌ってあげるよ──君の大好きなあの「あすなろの唄」を──。



【Towards the tomorrow・・・】





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