秘夜に愛を刻んだエリート御曹司はママとベビーを手放さない
 本人の宣言どおり、今、彼の部屋には複数の女性が遊びに来ているようなのだ。もちろん、のぞきに行ったりはしていないが、昴の部屋は清香の部屋より奥にあるのだ。小一時間ほど前に若い女性たちのにぎやかな声が通り過ぎるのを聞いた。
 部屋でなにをしているのかは、あえて考えないようにしている。もっとも、自分だってこうして志弦と過ごして胸をときめかせているのだから……昴がなにをしていようと文句を言える立場でもない。

「悪かった。昴のことをもっと早く君に話しておくべきだったかもしれない」
 その言葉で、志弦が彼女たちの訪問を知っていることがわかった。昴の女性癖があまりよくないことを志弦は当然知っていたのだろう。
 もしかしたら、見合いのときに言われた『大河内家に嫁いでくるな』という言葉は、本当に清香の幸せを思っての意見だったのかもしれない。
「迷いはしたんだが、妙な先入観を与えるのもどうかと思って」
 本人のいないところで悪口を言いたくなかったのだろう。とても彼らしい判断だ。
 軽く目を伏せ、清香はきっぱりと首を横に振る。
「志弦さんが謝ることなんて、なにもありません。むしろ私はそういうところが――」
 好きだと口をついて出てしまいそうになって、慌てて引っ込める。頬が熱い。

(昴さんより私のほうがずっと、最低だ)
 彼は清香を見つめ、自嘲するようにふっと息を吐く。
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