秘夜に愛を刻んだエリート御曹司はママとベビーを手放さない
彼らしい、落ち着いたインテリアの部屋だった。背の高い本棚と大きめのデスクがあり、文豪の書斎のようだ。寝室はおそらく閉ざされた引き戸の奥に続いているのだろう。
志弦は清香に毛布を渡し、エアコンを強めた。それから彼女の正面に腰をおろす。
「誰かが廊下を走る音がしたから、なんだろうかと出てみたら……。なにがあった?」
「ごめんなさい、夜遅くに騒がしくして」
うつむき唇をかみ締める。これ以上は言えない。いや、言いたくなかった。志弦は追求しないが、清香の格好と表情で察したのだろう。苦しげに深く息を吐く。畳の上でかすかに震えている清香の手に彼の手が重なる。
「悪かった。怖い思いをさせて、守ってやれなくて――」
優しい声と温かい手、ほっとして全身から力が抜ける。あふれ出す感情もコントロールを失って、止めることができなかった。
「なにをされたわけでもないんです。でも、どうしても……我慢できなかった」
思いを吐き出すように、清香は言う。
「どうして、縁談の相手は志弦さんじゃなかったんでしょうか。お見合いの日、あなたの姿を見て、私、馬鹿みたいに浮かれてしまって」
この男性の妻になれるかもしれないと、期待した。彼を思い続けることを、運命が許してくれたのではないか、と思ったのだ。
「清香っ」
震える清香の身体を志弦がかき抱いた。
「俺は君を……愛している」
志弦は清香に毛布を渡し、エアコンを強めた。それから彼女の正面に腰をおろす。
「誰かが廊下を走る音がしたから、なんだろうかと出てみたら……。なにがあった?」
「ごめんなさい、夜遅くに騒がしくして」
うつむき唇をかみ締める。これ以上は言えない。いや、言いたくなかった。志弦は追求しないが、清香の格好と表情で察したのだろう。苦しげに深く息を吐く。畳の上でかすかに震えている清香の手に彼の手が重なる。
「悪かった。怖い思いをさせて、守ってやれなくて――」
優しい声と温かい手、ほっとして全身から力が抜ける。あふれ出す感情もコントロールを失って、止めることができなかった。
「なにをされたわけでもないんです。でも、どうしても……我慢できなかった」
思いを吐き出すように、清香は言う。
「どうして、縁談の相手は志弦さんじゃなかったんでしょうか。お見合いの日、あなたの姿を見て、私、馬鹿みたいに浮かれてしまって」
この男性の妻になれるかもしれないと、期待した。彼を思い続けることを、運命が許してくれたのではないか、と思ったのだ。
「清香っ」
震える清香の身体を志弦がかき抱いた。
「俺は君を……愛している」