秘夜に愛を刻んだエリート御曹司はママとベビーを手放さない
 真剣な声と情熱的な瞳、触れ合った場所から彼の気持ちが流れ込んでくる。
(でも、私たちは……この恋は決して……)
「ダメです。志弦さんを巻きこむわけには」
 彼を道ずれにするわけにはいかない。必死に拒もうとするけれど、彼の腕は緩むどころか、より強く清香を抱く。

「清香を離したくない」
 彼の情熱で清香の心が解けていく。
「……も、私も」
 パズルのピースがぴたりとはまるように、彼の胸のなかが自分の居場所なのだとたしかに感じる。
(一緒にいたい。あなたとずっと)
 逞しい背中をぎゅっと抱き締め返す。

 いたずらっぽく笑って、彼は清香の顔をのぞき込む。
「俺は君を無理やりこの部屋に連れ込んだ。そして、さっきこっそりと部屋に鍵をかけた。君が助けを求めても、誰も入ってこられないように」
 どういう意味かと首をかしげる。
「だから、これから先に起こることは合意の上じゃない。すべて俺の責任だ。あとでいくらでも訴えてくれ」
「あっ、志弦さんっ」
 彼の手が首の後ろに回り、熱い唇が触れた。初めての夜の優しいキスとは違い、すぐに舌が侵入してきて甘い蜜が流れ込む。それは媚薬のように清香の全身を侵していく。

 合意じゃないと言ったのは彼の優しさ。清香の罪の意識を少しでも軽くするために。
(でも……罪の重さは私が一番知っている。だって、この心も身体も、どうしようもないほどに志弦さんを求めてる)
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