秘夜に愛を刻んだエリート御曹司はママとベビーを手放さない
 別の男の子を妊娠している女とはさすがに結婚などしないだろう。縁談が完璧に破談になれば、両親も清香を解放してくれるかもしれない。
『それならいっそのことさ、親族みんなを集めて暴露しちゃえば?』
 茉莉の案はとんでもないものだったが、意外と理にかなっている。
『揉み消されないように証人は多いほうがいいと思うし、なにより、清香を商売の道具扱いしているやつらにひと泡吹かせてやりたいじゃない!』

 この電話の翌日に、タイミングよく昴から連絡があった。電話を受けたのは琢磨で、嬉々とした様子で知らせに来た。
「昴さんから結納の日取りの連絡があったぞ。向こうのご親族も集まる正式なものだ!」
 清香の部屋で一緒にそれを聞いた奈津も、安堵の表情を見せる。
「あぁ、よかった。家出のことは許してくれたのね」
「やっぱり、亡くなられて一年経っても、源蔵さまの意向はお強いんだなぁ」
 昴が清香を許し受け入れたのは、源蔵の遺言だから。琢磨はそう思っているようだ。それも事実かもしれないが、清香は少し違う意見だ。

(多分、昴さんは私を志弦さんに渡すのが嫌なんだわ)
 興味のなかったおもちゃも、人にあげるのは悔しいと駄々をこねる子どものように。
 清香は茉莉の案を実行する決意を固めた。
「結納の場で、昴さんに妊娠を伝えるわ」
「そうね。関係者がそろうんだし、ちょうどいい機会ね」
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