秘夜に愛を刻んだエリート御曹司はママとベビーを手放さない
 少しだけ勇気を出して、自分から彼の唇に顔を寄せた。下唇の端をかすめるだけの下手くそなキス。それでも、彼は幸せそうに目を細めた。

 清香の身体をぎゅっと抱き締めて、悩ましげな声をこぼす。
「妊娠中じゃなかったら、加減できずに何度も抱いて、清香の身体を壊してたかも……」
 この先はお預けであることは互いにわかっている。だからこそ、身体の芯が切なくうずいてもどかしい。

「志弦さんになら、壊されてみたい……です」
 リップサービスでもなんでもなく、本音だった。この島で初めて彼に抱かれたとき、『こんな快感があるなんて』とおののくような気持ちになった。でも、子を身ごもった二度目の夜はもっともっと深くて、また知らない世界を見せてもらった。
(この先も知りたい……って思うのは、はしたないかな?)

 志弦が驚いたように目を見開いている。
「あ、もちろん今はダメですけど。その、いつか」
「あぁ、もう! 今はあんまり煽らないでくれ。理性が飛びそうになるから」
 言葉どおりに余裕のない彼の横顔は、清香を最高に幸せな気分にさせた。

 それから、ふたりは離れていた間のことを語り合った。
「空港でお父さんに捕まってしまって、約束を守れなくて本当にごめんなさい」
 そのあとすぐに妊娠が発覚したこと、結納をぶち壊して両親に絶縁宣言をしたことなどを清香は彼に説明する。
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