秘夜に愛を刻んだエリート御曹司はママとベビーを手放さない
「大河内家の顔に泥を塗るようなマネして申し訳ありませんでした」
 清香が肩をすくめると、志弦はおなかを抱えて笑う。
「いや。悪い子になった君を俺も見たかったな」
 志弦は清香の頬をそっと撫でる。

「それより、妊娠中の大変な時期にそばにいてやれなくて、本当に申し訳なかった。俺たちの子を守ってくれてありがとう」
「それは志弦さんのせいじゃありませんから。なんとか連絡を取れないかといろいろ考えてみたのですが、会社がロンドンのどこにあるのかさっぱりわからなくて」
「航空券の裏に電話番号を記していたんだが……」
「えぇ?」
 衝撃の事実に清香は目を白黒させる。
(嘘でしょ……連絡先、手元にあったの?)

 航空券は捨てずに取ってあるが、たしかに裏面を見たことは一度もなかった。
「そんなぁ。ごめんなさい、私ってば」
「きちんと伝えておかなかった俺のせいだ。そもそも、どうして君が空港に来られなかったのかを調べるべきだった」
 振られた事実を直視したくなかったと落ち込む彼が愛おしくて、胸がキュンと鳴る。
「私が志弦さんを振るなんてありえないですよ!」
(わわ、しょんぼりする志弦さんなんて反則だよ)

 彼を励まそうと清香は明るい声で続ける。
「お互い、謝罪はなしにしませんか? こうして志弦さんが来てくれて、気持ちを確かめ合えて、私は十分すぎるほど幸せです!」
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