秘夜に愛を刻んだエリート御曹司はママとベビーを手放さない
 清香がすすめると、彼はソファから立ちあがる。
「そうする。風呂からあがったら、たまにはふたりで飲み直さないか。清香のアルコールもやっと解禁になったし」
「いいですね! ルームサービス、頼んでおきます」

 碧乃はひと月前に卒乳したばかり。妊娠発覚から授乳終了まで、長く続いた禁酒期間がようやく終了し、清香もお酒を楽しめるようになった。
 ルームサービスでチーズやナッツなどのつまみと赤ワインのボトルを一本頼んだ。ちょうど届いたところで、彼が風呂からあがってきたので、ふたりはあらためて乾杯をする。

 並んで座ったソファの前面は背の高いガラス窓で、ロンドン市街の夜景が望める。
「初めての家族旅行に」
「乾杯!」
 ベリー系の甘い香りとまろやかな舌触り。とても飲みやすいワインだ。
「おいしい!」
「寝坊しないように気をつけないと。明日はお楽しみの大英博物館だから」
「そうだった。でも、これはついつい飲み過ぎてしまいそうです」
 他愛のないおしゃべりに花を咲かせる。ほろ酔い気分になったところで、清香は切り出した。

「志弦さん、なにか私にしてほしいことないですか?」
「なんだよ、急に」
 彼は少し面食らったように目を瞬かせる。
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