秘夜に愛を刻んだエリート御曹司はママとベビーを手放さない
「いつも志弦さんにしてもらうばかりだから、なにか恩返ししたいなって! 肩揉みとかどうですか? あ、でもお酒飲んでるからダメですね。う~ん、なら――」
 真剣に考えていると、いつの間にか彼の顔が目の前にあった。にやりといたずらっぽく笑んだ彼が艶っぽい声でささやく。

「ふたりきりのこの状況で、俺が清香にしてほしいことなんて……ひとつしかないけど」
「えっ」
 長い指に顎をすくわれ、肩がびくりと跳ねる。
「気持ちよさそうにとろける君を見せてほしいな」
 妄想をかき立てる台詞が、清香の羞恥心を一気に高める。志弦はいつだって、こうして簡単に場を支配してしまうのだ。あっという間に濃密になった空気から、もう逃げられない。
「そ、それ、私がしてあげることとは違うような……」
 わずかに抵抗してみるものの、すぐに背中に腕を回されて後退を阻まれてしまう。
「違わないよ」

 言いながら、彼は清香の唇を奪う。芳醇なワインの香りと熱い吐息に酔わされ、溺れてしまう。湿った水音を立てる大人のキスがほてった身体をより熱くする。
「そう、もっと舌を絡めて」
「んっ、はぁ」
 恥ずかしいのに、彼の言葉にはあらがえない。
「初めてのときとは見違えるほど上手になったな」
「そ、そんなのわからなっ」
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