秘夜に愛を刻んだエリート御曹司はママとベビーを手放さない
 キスもその先も、もう何度も経験しているけれど、いつも彼に翻弄されるばかりで経験値があがっている気はちっともしない。余裕たっぷりな彼の笑顔を恨めしげに見あげて、ぼやく。

「悔しいです。たまには私もその冷静さを崩してみたいと思うのに……」
「冷静? 俺が?」
 彼は苦笑して肩を揺らす。
「清香の前ではいつも、全然余裕ないよ。知らなかったのか?」
 コツンと額を合わせて、彼は優しく目を細める。
「知らなかったです。だから……今夜、教えてください。私も、気持ちよさそうな志弦さんを見たいから」

 彼はどんなときも清香の快楽を優先してくれる。それはきっと彼の愛情表現で、なによりもうれしいことだけど……そうじゃない姿だって知りたいと思う。
 彼はごくりと喉を鳴らす。一段低くなった声が清香の耳をくすぐる。
「そんなこと言われたら、なにするかわかんないよ?」
 彼の瞳が獰猛な獣のように鈍く光った。清香は真っ赤な顔で小さくうなずく。
「志弦さんになら、なにをされてもいいです」
 どんな顔もどんな姿も、絶対に愛せる自信があるから。

「じゃあ、覚悟して」
 そのまま強引にソファに押し倒された。彼の手がすばやくバスローブの帯を解く。首筋に唇が触れたかと思うと、痛いほどに、熱く強く吸われる。首筋、鎖骨、脇腹。彼は全身にくまなくキスを落としていく。
「やっ、そんなところは……」
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