秘夜に愛を刻んだエリート御曹司はママとベビーを手放さない
 唇が重なる。強引に差し入れられた舌が歯列をなぞり、蜜のような唾液を貪る。脳がグズグズにとろけて、なにも考えることなどできなくなる。
(この男性(ひと)は、罪作りだ)
 これから先の人生で、これ以上のキスを経験することはない。そう思った。

「最高の夜を約束しただろう。たっぷりと溺れさせてみせるから、なにも心配しなくていい。俺に身を任せて」
 まるで催眠術みたいだ。彼の声だけが聞こえて、身体から力が抜けていく。余計なことを頭から捨てて清香は彼に身を委ねた。

 彼の腕に抱かれて眠る夜は信じられないほどに幸福で、このまま人生が終わってしまってもいいかも……なんて不謹慎な考えがちらりと頭をかすめた。
 でも、どうしたって朝は来る。
 一度きりの甘いデートはもう終わりに近づいていた。


 
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