花は今日も咲いているか。~子爵夫人の秘密の一夜~
 息を上げながら訴える。すでにエレナの股の間はしっとりと濡れていた。
 全身が燃えるように熱く、とにかく彼のもので満たされたかった
 “酔い”に任せてはしたなく強請ると、トマが荒々しくエレナの寝間着の裾をたくし上げる。トマはズボンを膝まで下ろすと、エレナの肌着を少しずらし、愛撫もせずに濡れた場所に剛直を当てた。
 エレナもとにかく彼と一つになりたかったから、「いいわ、お願い」と熱い息ともに言葉を吐いた。

「ああっ」

 トマが、エレナの背中を腰に押しつけ、両の太ももを掴む。宙に浮いた足を、エレナはぐっと彼の腰に絡めた。その瞬間、押し上げるように男の性器が体内入ってくる。
 愛撫をしなかったから、当然引きつるような痛みを感じたが、二度、三度と奥を突き上げられるうちにそれも感じなくなった。
 
「あっ、あ……、こんなの初めて……ッ」

 当たり前のことをいうと、トマはさらに興奮したようにエレナの奥を突き上げた。

「ああ……、奥さま、信じられない、こんな……、っ」

 奥をガツガツと叩かれる度に、頭の奥が痺れ、全身に快感が広がっていく。
 このような性交を、エレナは知らなかった。夫との行為は、ただ後継を作るためだけのもので、痛みと不快感しか感じたことはなかったのだ。
 背中に藁をつけた庭師の男と、このような納屋でする行為に、エレナはいま、間違いなく女としての悦びを感じていた。

「ずっとッ、あなたに触れたいと……、ああ、本当に信じられない……あっ、ああ」
「ああ……っ、本当にっ? あっ、嬉しいわ……、嬉しい、トマ」

 汗で、髪が顔に張り付く。それすら心地よく、エレナはトマにキスを強請った。
 何度も腰を突き上げられ、やがて脳天を貫くような快感が走る。それを追いかけるように腹の中にも熱い物が放たれ、エレナは顎を仰け反らせて一際高い声を上げたのだった。




 洋灯の明かりが、狭い納屋のなかを照らしている。
 ひとときの情事を終えた二人は、壁を背に寄りそって座っていた。
 エレナは彼が持ち込んだ毛布を膝にかけ、彼の肩に顔を預けている。しっかりと繋ぎ合わせた手は、二人の間の床に置いて。

「オレ……、本当はもう、ここへは仕事に来ないはずだったんです」

 少し落ち着いた所で、トマがふとそう言った。

「え?」

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