経理部の女王様が落ちた先には
8月も終わる頃、また役員と部門長による会議が開かれる。
今回は、前回は出席出来なかった従兄弟様もそこにいる。



経理部からの報告を、今回も“女王様”のあの子は問題なく・・・いや、とてもよく出来ていた。



そんな時・・・



「この、3つ目の分析のデータ、3期分なんだよね?
5期は目を通した?今、どんな感じだったか言える?
あと、5つ目の会計データ、これって補助科目ごとに出したらどうなる?」



と、今まで黙っていた従兄弟様が声を上げた。
副社長室を不穏なオーラで包み込んでいく。



これは、わざとだ・・・。
俺の直感がすぐに気付く。



でも、それに気付かない“女王様”のあの子は、一歩後ろに後ずさった。



そんなあの子を見ながら俺が声を掛けようとした、その時・・・



あの子の目は、作られた“女王様”ではない、何か別な色になった・・・



「5期分、全て目を通しております。
補助科目ごとの会計データも出せます。
持ち帰らせて頂き、本日中に追加の資料を皆さんにデータでお送り出来ます。
そちらでいかがでしょうか。」



そう、答え・・・
従兄弟様とこの子がお互いに視線を交わす。
不穏なオーラに、ピリッとした緊張感のある空気が一気に膨れ上がり、従兄弟様が出す不穏なオーラを打ち消そうとしていく・・・。



「そうですね、そうしよう。
社内の会議とはいえ、今この場で合っているか分からない数字を言われても、判断を間違えるかもしれないしね。」



従兄弟様が不穏なオーラを消し、あの子から出た空気も消えた。



「花崎さん、あと1つなんだって?」



税理士試験の科目合格のことだ。
今年の試験日は、会社としてこの子に特別休暇を数日付与していた。



「働きながらよく頑張ったね。
花崎さん優秀だし、うちとしては長く働いてもらいたいけど・・・。
どっちにしても、しっかりバックアップさせてもらうよ。」
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