先生、私がヤリました。
マンションに戻ったのは夕方の七時になってました。

ハヅキくんに言ったのより一時間も遅くなってしまって、泣いたり暴れたりしてないかなって心配になってました。

エレベーターで部屋の階数まで上がって、扉が開く時はちょっとドキドキしましたね。

人だかりが出来てたらどうしようとか、全部バレて警察が待ち構えてるかもとか。

マンションの前が静かだったので、大丈夫って思う反面、いやこういう時って逃げられないように気配消すんだよなとか、あの時の私はいつもより小心者でした。

そんな心配をよそに、部屋の玄関ドア前は静かで、誰も居ませんでした。

ドアに耳を近付けて聞いてみたけど、中からは泣き声とかハヅキくんの声も聞こえません。

ホッとしながら鍵を開けて中に入ったら、外は薄暗い程度だったけど、部屋の中は真っ暗でした。

カーテンも閉め切っていたし、電気も点けていなかったことを思い出して、慌てて靴を脱いでリビングに入って電気を点けました。

「ハヅキくん!」

私の呼ぶ声に、ケージの中で丸まっていたハヅキくんは猫みたいにむくりと起き上がって目をこすりました。
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