先生、私がヤリました。
私に殴られたリズちゃんは脳しんとうでも起こしたのか動かなくなりました。

ジッと見てたら胸の辺りが僅かに上下していたので死んではいません。
人間って簡単に気絶するんですね。
子どもだからですか?

首に巻いていたスカーフでリズちゃんの口を塞いで、お風呂場に行ったら洗面台の所に頭に巻ける長さのタオルがあったので、それでリズちゃんを目隠ししました。

リズちゃんを抱えて玄関に行って、キャリーケースに押し込んでから、スノードームも投げ入れました。
血は出ていなかったので良かったです。

もうすぐ八時になろうとしてました。
早く帰らなきゃ。

魚眼レンズから外の様子を伺って、そっとドアを開けました。

切れかけの蛍光灯がチカチカ点滅していて、夜になると余計にひっそりしてました。

あの雑草が生い茂った、遊具がある場所も夜に見るとちょっと怖かったので早歩きでその場を離れました。

早く帰らなきゃ。
ハヅキくんが待ってる。

ハヅキくんには、私しか居ないんだから。

この頃から、もしかしたら感情のベクトルが変化していたのかもしれません。

先生を愛してる。
先生に振り向いて欲しくてこんなことをやってるのに、
先生にとって大切な物は一つだけじゃない。
しかもそこに多分、私は含まれてないって、いい加減気付き始めてたのかもしれません。

先生が本気で見つけてくれるまで絶対に辞めたりしない。
あなたの大切な物を奪ったのは私だってちゃんと解ってくれなきゃ…。

その目的は変わらないのに、ハヅキくんとの生活を守ろうとしてるのはなんで?
奥さんに異常に腹が立つのはなんで?
本当に先生とのことだけが理由なの?

ぐちゃぐちゃでした。
生活も、感情も。
ぐちゃぐちゃで、先生が振り向いてくれないことも、私に可愛いって言ってくれることもきっともう無いって気付いてたんです。
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