政略結婚ですが、不動産王に底なしの愛で甘やかされています
「社長でしたらラウンジカフェにいますよ。心配しているご様子でしたので、ご帰宅されるまでは待機しているとうかがっております」

 ぼーっと名刺を眺めながら考え込んでいたので、久我さんに連絡をしようか迷っているように見え、声をかけるタイミングを見計らっていたのかもしれない。

「そうなんですね……」

 そこまで気にかけてもらう理由が思い浮かばないけれど、それならさっさと帰らないと。久我さんや坪井さんの時間をこれ以上奪うのは申し訳ない。

「ご丁寧にありがとうございました。助かりました」

「とんでもないことでございます」

 坪井さんに改めてお礼を伝えて部屋を出ると足早に一階ロビーへ向かう。

 借りた洋服の返却とクリーニングの引き取りについて尋ねたところ、ワンピースは久我さんからのプレゼントなので返さなくていいし、クリーニングした私服は自宅に送ると伝えられた。

 至れり尽くせりで、これはやはりきちんとご挨拶をしなければいけないと思い久我さんの姿を探す。
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