政略結婚ですが、不動産王に底なしの愛で甘やかされています
「君が行っているボランティア活動というのは、具体的にどういったものなんだ?」

 ずっと俯かせていた顔を上げると、久我さんは形のいい口元に笑みを浮かべていた。ドクンドクンと心臓の音が全身に響き渡る中説明をする。

「学生の頃は時間に余裕があったので、ミルクボランティアをしていました。保健所などで保護された哺乳の必要な犬猫を預かって、哺乳や人慣れが必要な時期を一緒に過ごすんです」

「へえ。そういうものがあるのか」

 久我さんは興味深そうに少し身体を前のめりにした。

「あとは捕獲機などを使って、野良猫を捕獲したり」

「そんなことまで?」

 久我さんの目が見開かれる。

「誰かが捕まえなければ保護はできませんから。知識だけがあるのと、実際に体験しているとでは雲泥の差があります。シビアな世界をこの目で見て一層想いが強くなりました」

 助けられなかった命とも数多く向き合ってきた。その過程で私は強くなれたし、恵まれた環境に生を受けた自分の存在意義を見出せた。
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