政略結婚ですが、不動産王に底なしの愛で甘やかされています
「専門的な知識や技術が必要なボランティアもあるんですよ。獣医師やトリマー、躾のトレーナーなど、資格を有している方々の手助けも必要なんです。……私、トリマーやトレーナーになるための専門学校に通いたかったんです。でも父が亡くなって、土地を運用するための知識を得る必要性が出てきて」

「そうか」

 たったひと言の相槌なのに、声音に優しさが滲んでいて胸にグッとくるものがあった。目の奥が熱くなって声を詰まらせる。

 誰かに弱みを見せて、共感してもらって、それだけで心がぐらつくなんて人としてまだまだだな……。

 心を落ち着かせようと箸を取って料理を口に運ぶ。久我さんのお皿はもう空になっている。私の食事が進んでいないから、しばらくの間コース料理の提供がストップしているのだろう。
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