政略結婚ですが、不動産王に底なしの愛で甘やかされています
 視線を手元に落とし、うす暗い中キャンドルの明かりを受けて輝いている指輪を改めて見る。

 綺麗……。

「ダイヤモンドがハートの形になっているんだね」

「ひと通り見せてもらったんだが、これが一番恵茉に似合うと思ったんだ」

「ありがとう。涼成さんに選んでもらえてすごく幸せ」

 涼成さんの手首を掴んでふたり一緒に立ち上がった。いつもとは逆の立場で私が手を引き窓際まで移動する。

 クルーズももう終わりに近づいている。名残惜しくて夜景を穏やかな気持ちで眺めていると、隣に立つ涼成さんが私の腰に腕を回して身体をぐっと引き寄せた。

 顔を上げるとキスが降ってきて、逞しい背中に手を伸ばす。

 つい数秒前まで名残惜しいと思っていたのに、夜景よりキスに夢中になってしまって気づいたら船は港に到着していた。

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