悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2
「腹でも減りましたか? クッキーなら騎士サロンでもらえますが」

「ひどい。私をなんだと思っているんですか」

真顔でなんてことを言うんだ。直前に感じていたしんみりとした気分も、丸ごと吹き飛んでしまった。

「要らないのならいいのです」

「要ります。騎士サロンに同行させてください」

アメリアは、素早くクラークの手を両手で捕まえた。いや包み込んだ。

「お前は素直ですね。そういうところ嫌いじゃないです」

いいでしょうと彼が頷く。

城へ来るたび、予定外の来訪をしているアメリアは、クラークのところで糖分補給をして帰っていた。

移動にも困らないし、休憩にもお菓子にも困らない。とても有意義な観察生活を送っていた。

ゲームのシナリオにない展開だ。毎日でも見たい。

(まずはハッピーエンドを見たわ。でもミッシェル様の人生は続いているっ)

興奮が収まらず、アメリアは改めて思う。熱烈なファンである彼女の欲望は、とどまることを知らない。

「何やら考えているみたいですね」

クラークが、アメリアの方へ身体を向け、膝の上に両手を置く。

「言ってみてごらんなさい」

「ミッシェル様の幸せを今後も見守り続け、邪魔があればとってはちぎり、困難があればサポートしたいです」

アメリアは、促されるがまま真顔で推し魂の熱意を言葉にした。

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