悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2
「はぁっ――いいよ、上手だ」

吐き出す息が聞こえた。

必死なアメリアは、彼の表情を見る余裕はない。

「このままお預けなんて、きついな――予定変更でいいか?」

そんな声が聞こえた直後、ソファのクッションにぼふっと後頭部が沈んだ。

「きゃっ」

目を上げたら、ソファに片膝を上げている彼がいてびっくりした。

エリオットの背中のマントが、アメリアのドレスに重なってソファの縁にしだれかかっている。

「あと少し時間がある。もう少しだけ肌に触れたいと思うのだが、……だめか?」

エリオットの長い指先が、アメリアの肩にかかるドレスの内側へと滑る。

熱が襟元までゆっくり移動していくのを感じた。彼の眼差しは熱くて、真剣で、そして凛々しかった。

「隠れているここの肌にも、キスがしたい」

「……肩だけ?」

「それは……許してくれるのなら、もう少し下まで」

とりつくろわず、彼が本音を語った。

無理には進めないと約束してくれていた彼の指が、ここだと教えるように、胸と鎖骨の中央にある襟を横へ引っ張るような合図を送る。

その位置までドレスを下ろしたい、ということなのだろう。

彼の下で肩をさらけ出すのは、抵抗があった。

(でも……)

「あと十分もないはずだから……その……キスをしたいのなら、していいわよ」

「興奮して噛むかもしれない」

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