憎んでも恋しくて……あなたと二度目の恋に落ちました
「だって……シェアハウスを尋ねたら、いきなりあなたが女の人と……」
「彼女は寝ぼけてた僕を起こそうとしたらしい」
「え?」
思いがけない状況を聞かされて、由美は戸惑った。
「ほんとに、単なる悪戯だったんだ」
真剣な表情で直哉は由美の目を見つめている。
その顔に嘘やごまかしは感じられなかった。
「……冗談でしょ?」
「すぐ、誤解を解けばよかったんだが、僕も意地になってしまった」
ふたりは遊歩道を歩き、波うち際の手すりぎりぎりまでくると立ち止まった。
「あのキスが、悪戯?」
気持ちの整理がつかなくて、由美は口に出していた。
あんな熱烈なキスを悪戯でするのだろうかと思いながらも、由美は次第に直哉の話に耳を傾け始めていた。
「君は許してくれるって考えていたんだ」
どんなに怒っても由美なら笑ってなかったことにしてくれると思い、年末年始も仕事に明け暮れて帰国しなかったと直哉は言う。
「私、そんなに優しくないわ」
「僕の勝手な思い込みだ。君に嫌われたなんて思いたくなかったから、許してくれるはずだと決めつけて安心しようとしていたんだ」
「そんな……」
「情けに話だが、本当だ」
直哉は話し続けながらも、辛そうに息を吐いて肩を落とした。
「春になってようやく一時帰国して金沢に行ったら、もうあの家はなかった」