憎んでも恋しくて……あなたと二度目の恋に落ちました
彼の隣を歩くのは五年ぶりだ。
海までの道を並んで歩きながら、由美は犀川のほとりを初めて手を繋いで歩いた夏の日を思い出していた。
指を絡めているだけで、彼の体温が伝わってきて体が火照ったものだ。
今は、ひんやりとした空気がふたりの間には漂っている。
「なにから話せばいいのか……五年前、君がサンフランシスコまで来てくれた日は申し訳なかった。すべて僕が悪かったんだ。寝過ごすし、スマホはロッカーに忘れるし……」
「ごめんなさい。あの日のことは聞きたくないの」
今さらのように五年前の言い訳をされても、由美の心には響かない。
言葉だけが体をすり抜けていくような気がした。
「わかってる。今さらなにを言ったって遅いかもしれない。でも、シェアハウスにいた女性とはなんの関係もない」
「関係ないって……あなたの恋人でしょ?」
「やっぱり、僕がキスされたのを君は見ていたんだ」
由美はギュッと目をつぶった。あの光景を思い出したくもない。