憎んでも恋しくて……あなたと二度目の恋に落ちました
木曜の午後、直哉は立花診療所を初めて訪ねた。
少し探したが、静かな住宅地の一角に目指す建物が見えた。
診療所と母屋が同じ敷地に並んで建っていて、落ち着いた外観だ。
広い庭には工事車両が何台か止まっていて、どうやら母屋の周囲は工事中のようだ。
初めての訪問だというのに、‶由美に会いに来た”と告げると家政婦が笑顔で迎え入れてくれるし、祖母だという品のいい老女は昼食まで勧めてくれた。
「お医者様はお腹を空かせてちゃいけません」
ニコニコと話してくれる声が穏やかで優しくて、ああ由美はこの人に育てられたのかと納得できた。
金沢で暮らしていた頃に毎日聞いていた由美の話し方にそっくりなのだ。
診察を終えて昼食にやってきた院長だという森医師は、穏やかな人柄が会話の端々に滲み出ていた。
ここでデイサービスを始めるという話を聞かせてくれたし、在宅医療の必要性を話してくれた。
医師として大学病院にも努めた経験もあり、幅広い知識の持ち主のようだ。
広い食卓を囲んで話を聞きながらの昼食は楽しかったし、家政婦自慢のとろろご飯はさっぱりとして旨い。
なんて居心地のいい家なんだろうと、すっかりリラックスしていたら由美が帰ってきた。