憎んでも恋しくて……あなたと二度目の恋に落ちました


その日から、直哉は忙しい日々の合間に由美を訪ねた。
休診日や土日を選んでいたので、祖母や家政婦の手前もあってか拒絶されることはなかった。

朝晩が肌寒くなった頃、ようやく由美の表情から硬さがとれてきた。
少しずつではあったが、昔のようにお互いの仕事のことを話すようになった。
わずかでも打ち解けられたように思えた頃、直哉は由美に声をかけた。

「君に見てもらいたい場所があるんだ」

日曜日の夕方、直哉から誘って由美を散歩に連れ出した。
立花診療所から歩いて10分もかからない場所にある、比較的新しい賃貸マンションだ。

「ここは?」
「引っ越したんだ」

西関東総合病院で用意されていたマンションは豪華だったが、いかにも裕実との新婚用に準備されたようで落ち着かなかったのだ。
直哉は引っ越しすることになった経緯を由美に正直に話した。

「縁談を断ったから、自力でここを探したんだ」

由美に窓からの景色を見せたいと言って、直哉は部屋に案内する。
最上階の25階にある見晴らしのいい部屋だった。

「どう?」

西の窓から、綺麗な夕陽が見える時間だった。

「雲までオレンジに染まるのね……」

由美も今さらのように、空の美しさに見とれているようだった。

「綺麗だ」

由美の横顔を見て、思わず直哉が口にした。





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