観念して、俺のものになって


話を聞いていると、確かに私が助けたのもあるけど紬さんが変われた一番の要因はその勇気と行動力だと思う。


「親から離れることが出来たら、まずは長い髪を切って体を絞った。次にオーストラリアに留学して、学生時代から憧れていたバリスタの資格を目指した後、自分の店をオープンしたのが、これまでのざっくりした経緯かな。

あ、まひるちゃんを忘れたことは一度足りともなかったよ。長々と喋ってごめんね……って、どうしてまひるちゃんまで泣いているの」


私がボロボロと大粒の涙を流していることに気づき、紬さんはクスッと笑いながら親指で雫を拭った。


「だって、だって……!!
勇気を出して、SOSを出せて良かったですね!」


「うん、本当に良かった。
叶うなら、きみにもう一度会ってお礼を言いたい。俺の淹れたコーヒーを飲んで欲しい、そう願っていたらお店に来てくれて再会を果たせた。

5年前より、綺麗になったまひるちゃんを一目見て恋に落ちてしまっていたよ。

これはもう、運命以外になんて呼ぶのか」


私もこうして再び出会えて、本当にうれしい!

目に涙をためて胸いっぱいになっている私の手を取り、紬さんは甘いテノールボイスで愛の言葉を贈る。


「ねぇ、まひるちゃん。

俺がきみを好きと言ったのは、決して伊達や酔狂じゃない。
きみが俺を救ってくれたように、
今度は俺がきみを守って見せるよ。

だから、これからの人生を俺と共に歩んでくれる?」


「……はい、私もちょっと意地悪だけど
誰よりもコーヒーを愛してやましい紬さんが好きです」


迷いなく頷いた私をシーツごと抱きしめて、私たちは幸せそうに笑いあった。


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