観念して、俺のものになって


季節の旬の食材を使ったパスタは絶品で、私のお気に入りだ。

キノコのクリームパスタをフォークでくるくる巻きながら、矢野ちゃんがニコニコして喋っているのを聞いてるこの時間も好きだ。


一通り会話が終わり、私と矢野ちゃんが黙々と食べていると、お店の壁掛けテレビから女性アナウンサーの声が聞こえた。


『次のニュースです。
東京都立高校2年生の女子生徒が、去年4月に建物から飛び降りて自殺し、手帳から「いじめられてつらかった」などと書かれたメモが見つかりました』


自殺⋯⋯確かあの人も、飛び降りようとしてたんだった。


そのニュースを見た瞬間、私の頭の中で昔の出来事がフラッシュバックする。


「⋯⋯せんぱい、桐谷先輩!大丈夫ですか?」

「あっ、ごめん!ぼーっとしてた」


再び声が掛かるまで、完全に食べる手が止まってしまっていた。

ハッと意識が戻った頃には、
矢野ちゃんはもう食べ終わっている。


「なにか気になる事でもあったんですか?」


うーん、会社の後輩に話すべき内容じゃないと思うけど⋯⋯この子は誰かに言いふらすような子ではないし恐らく大丈夫だろう。


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