観念して、俺のものになって
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昼休みが終わり、満腹になってうとうとしがちな午後2時頃。
物静かなオフィスで、タイピング音と電話の話し声だけが聞こえてくる。
……あー、いまいち集中できない。
眠気覚ましにコーヒーでも飲むかと思い、ドリンクサーバーで入れたホット珈琲を飲んでみた。
当たり前だけど、ガゼッタで飲むコーヒーの方が断然美味しい。まず、香りが全然違うの。
この間紬さんが女性客とひと悶着があった、私のお気に入りカフェ『Casetta』はイタリア語で小さな家という意味だ。
ほんとに美味しいコーヒーの味を知ってしまったら、自販機の缶コーヒーが不味く感じるんだよね。
まだ眠気が覚めない私はデスクから立ち上がり、届いたFAXに目を通し営業担当者ごとに振りわけはじめた。
「……芦屋、お前さっき少し寝てたろ?
課長笑ってたぞ」
唐突に後ろから声をかけられ、振り返るとうちの会社の凄腕営業担当である 市東佳浩さんが立っている。
私の勤める会社は、企業向けレンタルウォーターサーバーを専門に扱ってるんだけど、その若手営業の中でも市東さんの営業成績はダントツ1位なんだ。
もともと不動産の営業をしていたと言う市東さんは真面目で辛抱強く、仕事を何でも率先してやるから、上司や部下、女性社員などみんなから好かれている。
確かに、この人を嫌いとかニガテって言う人は見たことない。
私と同い年なのに、すごいなぁなんて他人事みたいに思ったりして。
クレームを入れたお客様を満足させて、再契約させるという凄腕の持ち主だってよく耳にする。
大学時代にラグビーをやっていたと言う、がっしりした体躯に、ほどよく日焼けした精悍な顔つき。
言わゆる体育会系男子だと思う……って、それよりもうたた寝してたの見られちゃったのか。
私は苦笑いしながら口元を隠した。
「うわ、ばれてました?だってもう、眠くて眠くて……あ、これ市東さん担当のお客様から来た注文書です」
そう誤魔化しながら、FAXのほとんどを市東さんに渡す。
「ありがとな。ほんと桐谷がいてくれて助かるよ」