観念して、俺のものになって
こういう何気ない感謝の言葉をサラッと言ってくれるとこも、周りから好かれる理由なんだろう。
「いえいえ。そんなに褒めても何も出ませんよ?」
市東さんは届いたばかりのFAXを受け取ると、私の顔を覗き込むように見つめた。
「桐谷、なんかいいことでもあったのか?
今日は機嫌がよさそうだな」
「え、私そんなにわかりやすいですか?」
紬さんに指摘されたことを市東さんにも言われてしまった。
自覚なかったなー、直さないと。
「まあ、お前のこと気になってよく見てる奴は気づくだろうな」
市東さんは日焼けした頬を掻きながら、視線をうろつかせる。
私みたいな、どこにでもいる平凡OLが特別気になる人がいるのかは謎だけどね。
その言葉にぎゅっと顔を引き締めた。
「そうなんですね……以後気をつけます!」
「いや、そうじゃなくて……」
「えっ?」
「いや、なんでもない」
田口さんが何かを言いかけてやめたのが、ちょっとだけ気がかり。
私は変な間に首を傾げた後、へらっと笑って口を開いた。