観念して、俺のものになって
ラッピングされた小さな箱をずいっと差し出す彼女に、再び驚かされる。
ええっ、まさかプレゼントまで用意してるとは……熱烈な思いが伝わってくるよ。
しかし、紬さんはそれをそっと押し返した。
「どうぞ、ごゆっくりお過ごしください」
何事もなかったかのように、また愛想笑いをしてから女性客がいるテーブルの前を通り過ぎて行った。
私は気になってチラ見すると、さっきの女性がすごく落ち込んでいるのが見える。
ちょっと可哀想だなと思う反面、紬さんも好意を持つお客さんをいちいち相手にしてられないだろうからこればっかりは仕方ないのかもしれないね……
大丈夫!紬さん以外にも、イケメンは探せば絶対いますよ!
って決して届くことのないエールをこっそり送っておいた。
そうこうしている間に、紬さんが私のいるテーブル席の前で立ち止まる。
「あっ、ええと……?」
「澤田さん。ここはいいから、他のお客さんの空いているグラスにお冷注いでくれる?」
「はーい」
バイトのユミちゃんは彼に促され、「失礼します」とお辞儀をしてからピッチャーを片手に各テーブル席を周り始める。
紬さんはと言うと、いつも店でしている、嘘で固めたイケメンスマイルを浮かべながら私に話しかけてきた。