観念して、俺のものになって
私の言葉に紬さんは一瞬きょとんとし、自分も咄嗟に口を押さえた。
あっ、煙草のことまではわざわざ言わなくてもよかったかも。
ほんの少し後悔の念に駆られて俯いていると、彼はそんな私の言葉に穏やかな声で返事をした。
「そう……よかった。煙草の匂いが苦手な人っているからね。珈琲は出来次第テーブルへ持っていくから座って待ってて」
チラッと紬さんを伺うと、口元を隠すのをやめた彼は、黒子をわずかに持ち上げ優しい笑顔で微笑んでいる。
いつもお客さん達に向ける笑顔とは違う笑みに、私の胸がざわつく。
この気持ちはなんだろ、苦しいような、きゅっと締め付けられるような……恋ではないはず。
それが落ち着かなくて、胸を押さえたまま彼の言葉に曖昧に頷いて私は店内に歩き出した。