観念して、俺のものになって
アパレルブランドには詳しくないけど、きっとお高いはず。紬さんは何となく、着る服もこだわっていそうだ。
バッチリ決めているモデルのような彼と手を繋ぐ私はというと、
どこにでもあるチェーン店で買った、灰色のカーディガンに、同じ店で買った白のブラウス、それに黒のストレートパンツに履き古したパンプス。
これがいつもの通勤スタイル。
……とてもじゃないけど恋人同士には見えないな。
しいて言うなら芸能人とマネージャー?
私たちが手を繋いで歩いていると、すれ違う人がチラチラと好奇の眼差しを送ってくる。
それが恥ずかしくて、隣を歩く紬さんに訴えた。
「あの……紬さん、今日は追いかけられているわけじゃないですから……手を離してもらってもいいですか?」
すると、“離さない”と主張する様に紬さんの手を握る力が更に強くなる。