観念して、俺のものになって
むしろ、嬉しいよ。
”きみと手を繋ぎたい”とか言われ慣れないから、ちょっと擽ったいなぁ。
思わず緩みそうになる顔を引き締め、
彼の掌をぎゅっと握り返す。
「そうですか。あなたは随分物好きですね」
照れ隠しの為に少しそっけなく返事してみた。
声色で浮かれているのがバレバレかもだけど、それでもいいや。
紬さんはちらっと私を見下ろし、口元の黒子ほんの少し上げた。
***
……えっ、どうしよう、すっごく高そうなんだけど!
10分くらい歩いて目的の場所に到着した時、まず初めに焦りを覚えた。
目の前に見える建物は、腰の高さほどの竹垣でぐるりと敷地を覆われた、二階建ての大きな日本家屋。
高級料亭のような佇まいの外観を見て、私は言葉を無くす。
もっとこう、安くてオシャレなイタリアンとかフレンチを想像していたのがまったくの予想外だったよ…!
石畳に沿って歩いた紬さんと私は、ほどなく行灯のような形の白いライトが灯った入り口にの前に着いた。
そこに書かれている店名は『古池亭』
……ああ、やっぱり料亭だよね。
「えっと……ここですか?」