観念して、俺のものになって


「まひるちゃんがどうしても払いたいって言うならそうしてもらうけど。言っただろう?これはあの日の”お礼”だって。

俺がここにきみと来たかったんだし、きみはそんなこと気にせず食事を楽しんでよ」


そっか、そうだよね。

昨日のお休みはほとんどあの出来事のせいで紬さんと過ごすことになったんだし……これはその「埋め合わせ」なんだから、とりあえず出されるお料理を楽しむことに集中しよう。


「うう……そ、それならご馳走になります」

申し訳無さで顔を俯かせながら上目遣いに言うと、セイさんは瞳を柔らかく細めた。


「そんなことよりほら、今日は月が綺麗だよ」

紬さんはテーブルの隣にある、格子窓から見える月を指し示す。

閑静な住宅街の中にあるこの店の周りには明かりが少なく、墨を溶かしたような空に浮かぶ月は真っ二つに割れた月だった。

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