観念して、俺のものになって
鰻を食べるのは久しぶりだ。
会社のランチでは洋食を食べるし、家ではパパッと簡単に済む料理を作りがちだから、和食自体食べるのが久々だな。
こういう風情のある料亭で食べる鰻は、間違いなく美味に違いない。
鰻が入っているお櫃は上品な漆器だった。
中央に置かれたお櫃と一緒に、テーブルの上には汁椀と漬物が並べられる。
丼と汁椀には蓋が付いていて、丼からは照り照りの鰻がはみ出し、蓋を押し上げていた。
やばい、もう既に美味しそう。
「まだまだ話し足りないけど、温かいうちに食べちゃおうか」
「はい、いただきます……!」
「いただきます」
私と紬さんは手を合わせてから、
早速蓋を開けてみる。
わあ、これが先生が実際に食べていた鰻なんだ!
『常闇の街』で描写されていたあの鰻がこれかぁ、と心の中で感動を噛み締めた。
蓋の下から姿を現したのは焦げ目のついた、肉厚の鰻。