婚約者には愛する人ができたようです。捨てられた私を救ってくれたのはこのメガネでした。
「なるほど。ディアの発想は面白いね。やってみる価値はあるかもしれない」

「本当ですか? レンにそう言われると、その、自信がもてます。いつも私の背中をそうやって押してくれたのが、レンだから……」
 そこで恥ずかしそうに俯いたリューディアは、空いている方の手で眼鏡を押し上げる。その仕草に、エメレンスは少しドキリとする。

「今日のクズ石の確認は終わりだよね」

 ドキリとしたことを誤魔化すように、エメレンスは勢いよく立ち上がる。

「ディア。この後は東の六号区の確認だよね」

「はい、そこは三月程前に崩落を起こしている現場です。なぜそれが起こったのかという原因を調査する必要があります。やっと、安全が確認できたということで、今更ですが」
 その安全確認を行ったのも、リューディアたちだ。他の業務もこなしながら、崩落現場の安全確認を少しずつ行い、事故の原因を確認するための足掛かりを作っていた。

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