婚約者には愛する人ができたようです。捨てられた私を救ってくれたのはこのメガネでした。
「おい、ブルース。お前、何をやっている……」
 そこへ現れたのが採掘師長のガイル。どうやらリューディアが呼んできたようだ。彼は真面目な人間だから、このように早い時間から現場に来ていることはわかっていた。

「ばかやろー」
 ガスっと、ガイルの拳がブルースの頭頂部に落ちた。
 他人が激怒しているのを見ると、なぜか冷静になれるというもの。ヘイデンは一つ息を吐いてから。
「ガイル、そのくらいにしてやれ。大事な話が聞けなくなると困るからな」

「ブルース。お前、隠さずに全部洗いざらい話せよ」

「師長、すいません……」

「すいませんじゃねーんだ、馬鹿野郎。そう思ってんなら、きちんと話せ。なんで、ここのクズ石を盗まなきゃならなくなったのか。お前のことだ、理由があんだろ?」
 どうやらブルースがここにいる内容をリューディアから聞いていたようだ。

「ガイル。悪いがブルースは俺の方で預かる。君も一緒に俺のところに来て欲しい。共にブルースから話を聞き出す。ディア、レン。君たちは、いつもの通り採掘の方の現場をお願いする。ガイルとブルースが離れることになるから、そこは適当に誤魔化しておいて」

 リューディアとエメレンスは大きく頷くことしかできなかった。とにかく、目の前のヘイデンが怖い、それだけだった。

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