婚約者には愛する人ができたようです。捨てられた私を救ってくれたのはこのメガネでした。
 ブルースが仕事の休みの日にフニペロと会い、彼から一つの魔導具を手渡された。それが崩落事故を起こしたきっかけとなる爆破装置。この爆破装置は起爆と同時に魔導具そのものが消滅するという、違法性たっぷりの魔導具である。もちろん、犯罪に使われる代物。
 それを預かったブルースはフニペロから言われた通りに坑道のある場所に仕掛けた。その後、崩落事故が起こり、幾人かの魔導士たちがそれに巻き込まれこの現場を離れてしまったという流れになる。
 それでも魔宝石を盗み出すことは難しかった。何しろヘイデンが責任者となってから、その辺の管理が厳しくなっているのだ。魔導士たちの数のせいではなかったことに、ブルースは気付く。それをフニペロに伝えたところ、今度はクズ石を盗み出すようにと言われた。これは管理されていないものだから、無くなったとしても気付かないだろうと。それに盗み出した魔宝石よりも足がつきにくい、というのがフニペロの考えだった。
 形が良い物よりも形が歪な物を選べ、というのがフニペロからの指示だった。そちらの方が魔力を取り込める物が多いから、と。

「事務所荒らし。あれも君の仕業だな?」

 あの日、ヘイデンが魔力を探っても魔力を感じなかったのは、相手が魔力無しの人間だったからだ。魔力消しの薬を飲まれていては面倒だな、と思っていたが、あれがブルースであったとしたら、納得はできる。

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