婚約者には愛する人ができたようです。捨てられた私を救ってくれたのはこのメガネでした。
黙って息子の話を聞く公爵は、次第にその顔を曇らせていく。そして、全ての話を聞き終えた頃には。
「ううむ……」
と唸っていた。
「こちらの不手際といえば不手際ですが。だが、怪我をした団員たちもいるので、今は採掘よりも先に、その怪我を治して欲しいと思っています」
「そうだな……。それで、人手が足りない、と?」
「はい。まあ、怪我をしていない団員の中に、やはりあの場で採掘を続けるのが恐ろしい、と。そう口にする者もいまして」
目に見える傷は、その傷の深さや大きさが見える分、回復の具合も見える。だが、目に見えない傷は、その傷の深さや大きさがわからないから、回復したかどうかもわからない。知らぬ間に身体全体を蝕んでいくことだってある。
今、ヘイデンが口にした内容はボワヴァン山脈の魔宝石原石採掘場において、落盤事故が起こってしまったということ。その際、採掘に関わっていた魔導士たちの数人がその事故に巻き込まれ、怪我をした。また、それを目撃した魔導士たちの幾人かは、採掘場で働くことに恐怖を覚えているといった内容だった。
「ううむ……」
と唸っていた。
「こちらの不手際といえば不手際ですが。だが、怪我をした団員たちもいるので、今は採掘よりも先に、その怪我を治して欲しいと思っています」
「そうだな……。それで、人手が足りない、と?」
「はい。まあ、怪我をしていない団員の中に、やはりあの場で採掘を続けるのが恐ろしい、と。そう口にする者もいまして」
目に見える傷は、その傷の深さや大きさが見える分、回復の具合も見える。だが、目に見えない傷は、その傷の深さや大きさがわからないから、回復したかどうかもわからない。知らぬ間に身体全体を蝕んでいくことだってある。
今、ヘイデンが口にした内容はボワヴァン山脈の魔宝石原石採掘場において、落盤事故が起こってしまったということ。その際、採掘に関わっていた魔導士たちの数人がその事故に巻き込まれ、怪我をした。また、それを目撃した魔導士たちの幾人かは、採掘場で働くことに恐怖を覚えているといった内容だった。