転生したら、シンデレラの姉だった件

Only you can change the future ...
ー貴方だけが、きっと…。
その未来を、変えられる…ー



ー序章ー
ー隣国 エメチャル大帝国 帝王
エメチャル
の憂鬱ー




ーチャーミング 王国の隣国、エメチャル 大帝国。






 「………ですので陛下、もうそろそろ、お嫁さんを、娶られるべきかと…!」
 エメチャル大帝国 王城、
エメチャリ 王城。
 椅子も机も、全てが銀製で出来た、その会議場ではー帝王 エメチャルが、家臣達に、口々に説得されていた。

 ー帝王 エメチャルは、10年前までは、70歳の、素朴なお爺ちゃんだった。

 ーしかし、その4年後ーつまり、6年前ー。
 …秋空が澄んだ、秋のある日。
 …彼は、若返ったのだ。
…70歳の老人 帝王から、19歳の、決め細やかな美貌を持つ、凛々しい若者へと………。

「…何度も言っているが…僕は、嫁は娶らないよ?」
 エメチャルは、にこやかに微笑んだ。
 …がしかし、その濃い緑色の瞳は、全く笑ってはいない。
 「………ともかく…!
ー1年半後に開かれる予定の、隣国 チャーミング国の舞踏会には、か な ら ず! 
 ー必ず、陛下にも、参加して頂きますからね………!」
と、この国の 宰相にまで釘を刺されて、エメチャルは、ぷうと、頬を膨らませた。


 「…舞踏会、かぁ………
 …そこで、見付かれば良いんだが…。」
ーミヒ…。
 エメチャルは、誰にも聞こえない声で、空気に向かって、"彼女"の名を囁く。
 「…きっと見付かりますよ、陛下!
………時期 お妃様 候補の 女性達が…!」
 ー宰相の若き息子、アイルにそう励まされ、
 「…あのなぁ…お前まで、そう言うか!?
 ーだから僕は、嫁はー王妃は、娶らないって…何度も、そう言ってるんだけど…」
ーと苦笑したリチャメルは、肩を竦めた。
 ー彼が探しているのはー見付けたいのは、ただ1人……………。
 「…"彼女"に会ったら…お前達も思わず、見惚れちゃうかもなぁ…………!
 …まぁ、僕にとっては…。
 ー恋しいと言うより、愛しいという感情に陥るだろうけど………。」
 ー"彼女"の姿を想像し、偉大なる 若き帝王は、宰相 親子に向かって、ニヤリと微笑む。

「「………はい………?」」
 ー皇帝 陛下、それはどういう意味ですかと、父と子は顔を見合わせ、眉を潜めるのだった……………。

 ー皇帝 エメチャルが漏らした、"彼女"。
 ーその人と自分達が、これから深く関わっていくことになるとは、知りもせずに…。



ー一章ー
ー転生したら、
「シンデレラ」
の世界でした…!?ー




ーチュンチュン…!
 ー小鳥達がさっきから、忙しく鳴いている。
 ………開け放たれた窓から、
 「…ララララー♪
 ……何時か必ず出会う♪
 私の光♪」
 ーと、私がーううん、誰しもが良く知っているだろう歌が響いてきた。
 「…はっ…!」
 ー私は、ガバッと起き上がり………
 「…ぎ…ぎゃああああああっ!
 …一体、どうなってるのー!!!?」
  ー思わず、大きな悲鳴を上げてしまった。
 ………何これ…何これっ!?
 「…私…私はさっきまで、自分の部屋の、簡素なベッドで、読書をしていたのに…!」
 …それなのに、私は今…、貴族風の、ゴージャスなベッドに居て………。
 29歳、おばさん間近とは思えない程の、小さな身体ーまるで、少女のように、身軽な身体でーそこに横たわっていた。
 …と、ともかく、周囲の確認を…って、あれ…?
 「…あの不細工な女の人は、誰だろう…?」
 キョロキョロとその部屋を見回した私は、自分の真正面にある肖像画に、目を奪われた。
 ーそこには…茶色のボサボサとした髪に、薄汚い同じ色の瞳。
 …不格好な目鼻立ちの、如何にも不細工!
 と呼べる、27、8歳くらい(?)の、1人の女性の姿が、忠実に描かれていた。
 絵の隅には、
「ルリア」
と書かれている。
 「…ルリア…もしやその名前は、瑠璃色から取ったのかなぁ…?
その名前の割には、着ている瑠璃色の服ードレス?
 全っっ然、似合ってませんけど?」
 そう突っ込んでも…
「………」
 絵の人物は、何にも答えてくれない。
 …って、そりゃあそうでしょう!
 何せ彼女は、絵の人なのだから!
 「…ハリ◯タみたいに、絵の人物が、喋る訳ないじゃん!」
 …と私は、自分で自分に突っ込む。
 …分かっていたなら何故、「ルリア」という絵に、話し掛けたの、って?
 …それは私が、物凄く、退 屈 し過ぎているから!
 「…あぁ、暇だなぁ…。
 …あ…!」
 ーもしかすると、あの窓の部屋に居る声の人なら…。
 …私のことも、この
「ルドラ」
という人のことも…何か、分かるーううん、知っているのでは!?
 「あぁ、もぅ…どうして今の今まで、思いつかなかったのよー!?」
 私はポカポカと、自分の頭を自分で殴りながら、その人の居る、遠く離れた部屋へ向かって、歩き始めるのだった…。
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