禁じられた恋はその胸にあふれだす
私は、やったと悠真君に囁く。

「それで記憶の方なんですが、何か思い出しました?」

「うろ覚えですが。」

私は驚いた。

悠真君、少しずつ思い出していたなんて。

「どんな事ですか?」

「ここに来る前、一花と会う前に、事故に遭ったような。」

「うんうん。」

同級生の医者は、パチパチとパソコンを打っている。

「事故に遭ったかもしれないと言うのは、どうして思ったんですか?」

「車に乗っていた気がしたので。」

「車にね。その車は、どうしました?」

「……思い出せません。」

「うんうん。」


私は、悠真君の手を握りしめた。

大丈夫。

思い出せなくても、私が側にいるって、伝えたかった。

「また1か月後くらいに、話を聞かせて下さい。」
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