禁じられた恋はその胸にあふれだす
その人の財布の中から、保険証が出てきた。

「名前、大崎悠真か。あれ、歳は俺達と同じみたいだぞ。」

「どれどれ?」

私はその保険証を見た。

「あっ、本当だ。」

その男の人を見ると、真っ白い顔をしている。

「輸血するの?」

「うーん。状態を見てだな。しばらく経っても、青白かったらするべきだ。」

こういう時、同級生が医者だと助かる。

「住所は書いてないか。まっ、保険証さえあれば、医療費請求できるし。」

「しばらくは入院だよね、この人。」

「だな。」

同級生は、他の患者を診る為に行ってしまった。


私は、ベッドサイドに置いてある椅子に座った。

この人、何で頭から血を流して、歩いてたんだろう。

どこから来たの?

何であの場所、歩いてたの?

疑問は尽きなかった。
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